第15話  悪について3 善と悪の間   岩井笙韻

さてスターウォーズ。
 映画の順に第四巻から見て行きましょう。
 昔、宇宙で平和が続いていたが、ある時から、『シスの暗黒卿』を頂点とし、その忠実で最強の部下『ダースベイダー』(何故かサイボーグのようでいつも黒い兜をかぶり、コーッ、コーッという呼吸音を響かせている)の率いる帝国軍が全ての銀河系を制圧する。元々平和に暮らしていた人たちはその支配を逃れて、又再び正義の共和国を作ろうと力を合わせ、同盟軍を組織し、帝国軍に立ち向かう。
 宇宙には<フォース>と呼ばれる力が満ちていると言われる。しかし、普通の人たちには全く分からない。そのフォースを用いて平和を築いてきたのが、正義の騎士達、<ジェダイ>だ。しかし、今やジェダイは伝説となってしまった。言い伝えによれば、昔、『ジェダイ狩り』と言うものがあって、その時にジェダイは滅ぼされてしまったというのだ。
 <フォース>そのものには善悪の区別はない。単に力なのだ。それを操る者が正義か悪かによって結果が異なると言うことだ。
 今最も強いフォースを持つ者は帝国軍の二人、『シスの暗黒卿』と配下の『ダース・ベイダー』。この二人の力は圧倒的で、その恐怖政治には帝国内でも誰も文句を言うことができない。悪の超能力者そのものなのだ。
 しかし、その二人がふと危惧を持つ。かすかに、自分たち以外のフォースの存在を感じるからだ。
 そして、その力の保持者が第三巻からの主人公『ルーク・スカイウォーカー』だ。彼はまだその力については無自覚だが、その力が同盟国側に発揮されたら帝国もうかうかしていられない。いつ、ジェダイが復活するかも知れないからだ。
 帝国軍は彼を捕らえようとする。又、ルークとは別の意味で、同盟国の命運を握るレイア姫も捕らえ、人質に取ることで、同盟国を殲滅しようとする。
 その時、ルークに心強い味方が現れる。それは隠者のような姿のジェダイ、『オビ=ワン』だ。彼は潜伏して、才能のある者を待っていたのだ。又、辺境の星には、ヨーダと呼ばれる小さな老人がいて、ルークに修行をさせる。ルークは次第に自分がかつてのジェダイが持っていたようなフォースを操る力を秘めていることに気づき始める。
 帝国軍と同盟国軍の戦は熾烈を極める。様々なキャラクターが登場、様々な事件が起こり、遂に、ルークはダース・ベイダーと対決する。しかし、まだ力の差は歴然。ルークは追いつめられる。そして、命が危なくなったその刹那、ダース・ベイダーは想像だにできなかったことをルークに伝える。


 「ルークよ!私はおまえの父なのだ。私の元に来い。そして力を合わせ、この宇宙を支配するのだ!」 (えーっと、大体こんな様なことを言っていますが、原文に忠実ではありません。ご了承の程を。)


 ルークは動揺する。嘘だ!そんなはずはない。私の父は立派な人だったと聞いている。こんな悪の権化のはずがない!
 首を振るルークにライトセイバー(フォースをため込んだ剣)が一閃。ルークは片腕を落とす!
 それでも助けられたルークは、父のことが頭から抜けない。嘘だとは思う、しかし・・・。そして、それが事実だったことを知る。それを受け入れなければ。しかし、どうしたらいいのだろう。(実は同盟国のレイア姫はルークの双子の妹だった。そして彼女にもフォースが。しかし、それはスターウォーズのテーマにとってはエピソードに過ぎない。) 心に迷いを持ちながら、ルークの修行は進む。戦いの中で、オビ=ワンはダースベイダーに倒され、ヨーダの寿命は尽きる。
 そして遂に、同盟国は最後の決戦を挑む。一度は破壊したものの、再び建設されつつある最悪の武器デススター、それは、一撃で惑星を消滅させることのできる帝国軍の切り札なのだ。それを破壊しながら悪の頂点『シスの暗黒卿』を倒さねば平和は訪れない。そして、そこに立ちはだかるダース・ベイダー!
 ルークは覚悟を決める。彼は敢えて帝国軍に捕らえられ、本当の父であり、今は悪の権化であるダースベイダーと感情を超えた戦いをしなければならないのだ。父であるダースベイダーも親子の情は捨てていないように思われる。彼は実はシスの暗黒卿(別名、ダース・シディアス)を倒し、ルークと親子でこの宇宙を支配したいと言った。ダース・ベイダーは完全にダース・シディアスの配下であるわけではないようなのだ。
 案の定、ダース・ベイダーはルークを捕らえ、シスの暗黒卿の元に連れて行く。ダース・ベイダーはシスの暗黒卿を倒せなくても、シスなら、ルークの心を闇に変え、その意味では連帯をもたらしくくれるかも知れないからだ。
 しかし、ルークはここで、予想外の状況を目にする。同盟軍が秘密の内に進めていた第二デススターの破壊計画は、帝国軍によって既に読まれていたのだ。待ちかまえる帝国軍の圧倒的な数のスター・デストロイヤー(これは巨大な宇宙戦艦で、その大きさには度肝を抜かれる)。その前になすすべもなく立ちつくす同盟軍の勇士達。
 その状況をルークに見せつつ、かすかに笑うシスの暗黒卿!そしてささやく。

  「ルークよ!見るが良い。このどうにもならない状況の中でおまえの仲間達は一人、又一人と命を落 としていくのだ。私にたてついたものの運命なのだ。さあ、怒れ。怒りに身をゆだねよ。その怒りがおまえを暗黒の世界に解き放つ。おまえはダークマスター(闇の方向にフォースを操るジェダイとは正反対の騎士)となるのだ!」
 憎しみ、怒りは闇の心、そのようにルークはジェダイ達から学んでいた。どんなときにあってもその心の持ってフォースを用いたら自分が暗黒の世界に飲み込まれてしまう。しかし、味方が次々に打ち落とされていくのを前に、こみ上げてくる怒りをどうしろと言うのか!悪を倒す怒りも悪だというのか!
 シスの暗黒卿はその事を知り抜いていて、ルークを誘っているのだ。
ルークは剣(ライトセイバー)を抜いてシスの暗黒卿の斬りかかる。しかし、その剣を止める剣!そこにダース・ベイダーが控えている。だが、怒りにまかせた剣はダース・ベイダーをも倒す。ルークの力はここまで上がっていたのだ。
 ダース・シディアス(シスの暗黒卿)は気持ちよさそうに笑う。そうだルークもっと怒れ。そして、私の前に跪くのだ。  この時、傷ついたダース・ベイダーは理解した。暗黒卿は私を使い捨てにするつもりなのだ。昔からシスが動くときには二人がペアになって動いてきた。頂点にダース・シディアス、そしてもう一人の騎士。その騎士には最強の者が選ばれる。ダース・ベイダーがまさにそれだった。しかし・・・。過去のパートナーがどうなったか?あの凶悪なダース・モールは助けなくして命を落とし、次のドゥークー伯爵(これは、映画では元ドラキュラ役のクリストファ・リー。ドゥークー伯爵とドラキュラ伯爵!ジョージ・ルーカスも冗談がうまい)も私(ダース・ベイダー)との戦いで使い捨てにされた。今度は私が使い捨てになるのではないか?
 しかし、ルークは首を振る。誰が悪の手先になどなるものか!
シスの暗黒卿から笑いが消える。それならおまえは死を持って償え!双の手からは強力なフォースが放たれる。ルークがこれまで見たこともないような強力な破壊の力。もうこれ以上持ちこたえることはできないだろう。その時思わず声が出る。
 「お父さん、助けて!お父さん!」
ダース・ベイダーはうろたえる。自分のマスター、シスの暗黒卿と息子であるルーク。そして、ルークの声がひときわ大きく響いた、その時!ダース・ベイダーはシスの暗黒卿を最後の力で持ち上げ、宇宙船の動力源に向かって投げ落とす。最後に息子への愛が勝ったのだ!しかし、力尽きるダース・ベイダー。仮面をはずし(サイボーグにとってはそれがもう死を意味する)息子に微笑む。
 こうして、悪の権化は死に、帝国軍は崩れ落ち、銀河には再び平和が訪れる。


 こういう内容です。なかなかドラマティックですね。しかし、これだけの話なら、別にスターウォーズが秀でているようには思われません。このような終わりは他にいくらでもあるからです。
 ここまでの話は第四、五、六話で、第六話が完結編なのですが、監督ジョージ・ルーカスはこれから後に第一話を発表します。スターウォーズが尋常な物語でないのはこの一話を見ると分かるのです。
 第一話には、とってもかわいくて、しかし、小さいながらもとてつもなく大きなフォースをまとったアナキンという男の子が主人公となり、悪を懲らしめるのです。しかし、ルークの父ダース・ベイダーの本名はなんとアナキン・スカイウォーカー!!最後には父親らしさを見せるが、極悪非道のダース・ベイダーの幼き頃がこのかわいいアナキンなのです。一体、どうしてこのいとおしいアナキンがダース・ベイダーに変身するのでしょうか?ここが問題なのです。
 ここからは次回。
何でこんな事が書道と関係あるのかと思う人も多いでしょうね。私もすっかり忘れて語っていました。しかし、もう少しの辛抱。芸術とか芸が善悪と関係ないところでなされているなら、それはカスのようなものだと思いますので。

 

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